教授 内田 裕之

 地球規模のエネルギー、環境問題に直面している昨今、再生可能エネルギーの利用技術やクリーンで自立発電可能な燃料電池の普及に対する社会の期待は益々高まってきています。その期待に応えるべく、本研究センターでは燃料電池研究部門、太陽エネルギー変換研究部門およびエネルギー計測研究部門において、活発に研究活動を展開しています。

 燃料電池研究部門では、自動車用や家庭用としてすでに実用化が進められている固体高分子形燃料電池の高性能化と高耐久化を目指して、新材料の開発や解析に関する研究を行っています。燃料電池ナノ材料研究センターとも緊密に協力しながら、複数の大型国家プロジェクトを推進しています。また、燃料電池での研究成果を活かして、プロトン膜やアニオン膜を用いた固体高分子形水電解セルの研究にも力を入れています。

 太陽エネルギー変換研究部門では、太陽エネルギーを利用した水分解による水素製造や二酸化炭素還元による有用化学物質合成、窒素還元によるアンモニア合成など人工光合成の他、環境ハーべスティングの研究を行っています。

エネルギー計測研究部門(令和5年度新設)では、クリーンエネルギー利用に関する材料および機能の解析研究や、質量分析におけるイオン化法や新しいイオンビームに関する研究を行っています。

 本研究センター所属の教員の大半は、工学部改組に伴い令和6年度に新設するクリーンエネルギー化学コースの学部生、従来のグリーンエネルギー変換工学特別教育プログラム、グリーンエネルギー変換工学分野、応用化学コースの大学院生の教育・研究指導に直接携わり、研究活動と活力・能力溢れる当該分野の人材育成とを今まで以上に両立させていくことになります。また、2018年10月からは早稲田大学など12大学と連携して⽂部科学省卓越⼤学院プログラム「パワー・エネルギー・プロフェッショナル育成プログラム」を開始し、長期海外留学、勉学の経済支援等、素晴らしい修学環境を整備しています。産業界や海外連携機関等とも協力しながら、今後も我が国のグリーンエネルギー分野の研究・人材育成の中心拠点としての役割を担っていきます。

センター長 入江 寛